【AL失敗事例】「合科的な指導」の落とし穴

新学習指導要領においても,「合科的な指導」というのが大事にされています。似たワードでは「関連的な指導」というのもありますが,この言葉たちは「失敗しやすさ」の点でALと同じにおいがします。

これまでたくさんの記事に書いてきましたが,ALは
① 手段であり授業改善の視点である
② 活動よりも,何をどのように学ぶかが重要である
③ 育成を目指す資質・能力を意識しないと「活動あって学びなし」に陥る

合科的な指導については,新学習指導要領解説総則編にて

教科のねらいをより効果的に実現するための指導方法の一つである。単元又は1コマの時間の中で,複数の教科の目標や内容を組み合わせて,学習活動を展開するもの

とあります。文章的には過不足無く,問題なく読めるのですが,これが実践レベルになるとおそらくALと同じ失敗に陥ります,というよりこれまでの実践の多くが「深い学び」という視点から見れば失敗しているように思います。

そう思う理由は,この説明には影に「評価」が隠れていることを読み取る必要があるからです。どのように評価し,その後の授業にどう生かすかという視点では,合科的な指導についてはまだまだ改善の余地があると言えます。

ただでさえ,「合科的な指導」ありきの授業は準備が難しいのに,それをどんな評価の仕方で良し悪しを判断すればよいのでしょう。評価が難しいということは同時に「深い学び」となっていたかの見取りが難しいということです。
双方の見方・考え方が育まれていたか,資質・能力の育成がなされていたか等という視点で,これまでの合科的な指導を見れば,すぐ「活動あって(充分な)学びなし」の授業が多いことに気付かされます。

この原因は上の文の最後の「学習活動」というところが鍵になっていると考えます。

授業改善の視点であるALは,教科等の目標の達成のためにあり,深い学びの実現がその前提になっています。深い学びの実現のために,手段的に様々な活動を行うというものです。

合科的な指導もまた,各教科等の目標を達成するために,深い学びを生み出す工夫としてあるものです。そのために「合科的な活動」があるのであって,活動ありきの指導ではありません。

逆に言えば,学習活動はこれまで通りで,評価の視点を各教科で育みたい資質・能力(三つの柱)のつながりを捉え,他教科等から見直すことで,各教科等のねらいを効果的に実現することができると考えます。評価が変われば,自ずと声がけも変わってきます。その結果として学習活動も変容するかもしれません。そうして生まれてくる「合科的な指導」は,主体的・対話的で深い学びを生み出す,真に各教科等のねらいを実現する授業になるのではないかと思うのです。


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