田村先生の最新刊「深い学び」
田村先生ご自身も,総合教育技術の5月号で
「移行期間に行うべき最優先事項は理念を理解すること」
とお話されています。
「今のままではまずい」と「今までと変わらない」が都合よく解釈(?)され,結局何も変われていない学校が多い中,この本からどんなことが学び取れるかを書いていこうと思います。
4つの章でまとめられているこの本は,
① 新学習指導要領の理念の構造的な理解のための説明
② 「深い学び」における子供の姿
③ 「深い学び」を具現する授業デザイン
④ 「深い学び」のための学校力
という構成になっています。
①では基本的にこれまでの説明と変わらない内容で,今まで新学習指導要領についてあまり良くわからない先生方のための説明と言えます。ただ,おもしろい目立つ表現として「知識が『駆動』する」というものがあります。
新学習指導要領で育成を目指す資質・能力の3つの柱の中で,「知識・技能」は「生きて働くもの」とされています。「駆動する」知識とは,固有な事実的な知識を「つなぐ・つながる・つなげる」というキーワードの基,概念的で構造的な知識に高めるということだそうです。
そういえば以前紹介した「『資質・能力』と学びのメカニズム」(奈須正裕先生)がこのような知識を「活性化された知識」と呼んでいました。条件節と行為節がつながるように教えることが大切であるという内容です。
それぞれの本の中では,具体的に説明されているのですが,私なりに解説すると・・・
トラックを半周するセパレートコース(コース幅が1メートルならスタートが約3mずつずれる)を走る小学3年生に,コースの中を走ることを教える場面を想像して下さい。これまでだと「コースの中から出てはいけません」「内側に入ると反則です」「まっすぐ走りましょうね」などの指導です。これは場面固有な知識の注入です。しかしこれを,教師が「どうしてスタート位置が前にずれるの?」「内側に入っちゃダメなの?」などの発問をすることで,なぜコースを外れてはいけないのかについて対話的に学び,理解した上でルールを理解することにつながるでしょう。
まぁ,それは面倒・・・と感じてしまうところが,真っ先に「理念を理解する」ために変わらなければいけないところだと思います。
まずは,知識・技能の話をしましたので,次回はその続きを・・・