今回は【実践】「ワールドカフェ」について,前編・後編に分けて説明します。
ALで注目すべきは「活動」ではなく,育てたい資質・能力に注目して,年間及び単元レベルでAL型授業をデザインすることである…。とは言え,単位時間当たりの活動がALの目安の一つであることは違いありません。そこで,以上を踏まえた上での活動例として,私が実践したものを紹介します。
ワールドカフェ方式の交流の仕方は簡単に言うと以下の通りです。
【ルール】 ホスト(説明係)は各班1人,それ以外がゲスト(訪問者)になります。
一回の交流は3分で,それぞれ3回行います。
一つの班に同じ班からのゲストは被らないようにします。
基本的に座席に座って話し合います(人数をある程度固定化するため)
① グループ内でホストを決めます。
② 他の子供はゲストとして,他の班でホストの話を聞き,
さらにその場にいる他の班のゲストと交流します。
③ 他の班に移動します。(交流は3回程度行う)
④ 自分の班に戻り,獲得した情報を交流(収穫)します。
⑤ 自分のまとめをします。
PDF ワールドカフェ方式のやり方 例 作成 山野
PDFの方で説明がついていますが,この方法のいいところは
(1) とにかく多くの子供が話す機会が増える(外化の機会が保障される)。
(2) 聞くことの必要性が生まれる。(班に戻った後,報告する必要があるため)
⇒「協働的」になりやすい。
(3) 自分の必要感の下で,活動ができる。
⇒「主体的」になりやすい。
が挙げられます。
AL型授業にはもってこいの活動なのですが,意外と不評だったりします。その理由は
(1) とにかく慣れが必要なのではないか。
(2) しゃべらない子供は何もしないのではないか。
(3) ただ聞いただけで,人の意見に乗るフリーライダーが増えるのではないか。
といったあたりです。
(1)については,確かにある程度の充足度(慣れ)は必要だと思います。これは,田村学先生も思考ツールを例に,ALの学びにはある程度の充足度の高まりが必要であることを話しています。「学び方の獲得」という意味から考えれば,これから必要となる「学ぶ力」であると言える,大切な「資質・能力」であると考えます。
(2)(3)については,「学び合い」で有名な西川純先生が,「これまでの一斉授業の中で,何も話さずに座っていただけの子供が,どれだけいたか・・・。そう考えると,学び合いでの学習はまだ『マシ』と言えるのではないか。」といった内容のお話をしています。一斉知識伝達型授業の中で,どれだけの子供が自分で思考を巡らせていたかを考えれば,比べるべきなのは,「思考している子供」と「思考していない子供」ではなく,「これまでの授業での思考していない子供」と「AL型授業で思考していない子供」であると言えそうです。
少し話題がそれましたね。
もう一つ確認しておきたいのは,タイトルでは「ワールドカフェ」と書きましたが,実際に指導案上に表すときは,「ワールドカフェ方式の交流」という表し方をしていることです。これは,2年ほど実践を重ねた結果,研修方法としての世間一般で使われている「ワールドカフェ」と,授業内でAL授業のために行う「ワールドカフェ」は,若干性質が異なることがわかってきたからです。
まず,本物のワールドカフェは,
本物のカフェのようにリラックスした雰囲気の中で、テーマに集中した対話を行います。
自分の意見を否定されず、尊重されるという安全な場で、相手の意見を聞き、つながりを意識しながら自分の意見を伝えることにより生まれる場の一体感を味わえます。
メンバーの組み合わせを変えながら、4~5人単位の小グループで話し合いを続けることにより、あたかも参加者全員が話し合っているような効果が得られます。
http://world-cafe.net/about/ ワールドカフェネットより
授業の中で「本物のワールドカフェ」を行うことの問題点は,
① (本時の目標達成までの)時間がどれくらいかかるか計算しづらい。⇒時間がかかる
② 考えを深める事には有効だが,単純に答えが出る性質の問題では必要感が出ない。
③ 全体での到達点が見えないで終わってしまうので,評価が難しい。
の大きく分けて3点です。
これらをクリアするためには・・・。少し長くなりましたので,一度記事を切ろうと思います。
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