田村先生の最新刊「深い学び」
田村先生ご自身も,総合教育技術の5月号で
「移行期間に行うべき最優先事項は理念を理解すること」
とお話されています。
「今のままではまずい」と「今までと変わらない」が都合よく解釈(?)され,結局何も変われていない学校が多い中,この本からどんなことが学び取れるかを書いていこうと思います。 “【深い学び】「深い学び」① 駆動する知識ってどんなの?” の続きを読む
校内研究で役立つ情報満載!「令和の日本型学校教育」で知りたいことはココでわかる。(旧タイトル:できる!小学校・中学校でアクティブ・ラーニング)
田村先生の最新刊「深い学び」
田村先生ご自身も,総合教育技術の5月号で
「移行期間に行うべき最優先事項は理念を理解すること」
とお話されています。
「今のままではまずい」と「今までと変わらない」が都合よく解釈(?)され,結局何も変われていない学校が多い中,この本からどんなことが学び取れるかを書いていこうと思います。 “【深い学び】「深い学び」① 駆動する知識ってどんなの?” の続きを読む
すごい本を見つけました。これは授業をAL化するための素晴らしい本です。たぶん今まで読んだAL化のための本としては最高レベルです。そして,タイトル通りではなく,算数授業以外にも十分「使える」本です。
4月に入って,ずいぶんアクセス数が伸びました。
おそらくは,「今年の研究についてどうしたものか」とお考えの研究担当者さんも来てくれているのではないかと思います。
私自身も,今年の研究仮説(テーマ)をどのようにしたものか考えているところですので,少しでも役に立つものがあればと思い,エントリーを立てました。 “平成29年度オススメ! 校内研究仮説の例” の続きを読む
関心・意欲・態度と言えば,評価観点の最初にして最重要項目という捉えられ方をされてそれなりに時間も経ったことと思います。ところで,この言葉って皆さんどのように理解されていますか?
この評価観点についてこんな方法で評価されている方が多いような印象です。
1. 授業中の挙手や発表の回数
2. 単元の導入で興味を持っているか
3. 忘れ物や課題未提出者に対して減点する
4. 普段の授業態度(姿勢やノートの記入など)
特に1.や2.は今回の改訂でバッサリ切らねばならない評価方法と言えます。
(3.や4.は問題外ですよね)
まずは関心・意欲・態度とはそれぞれ,どのようなものを指しているのかを確認する必要があるでしょう。
大まかに言うと,それぞれが高い状態と言うのは・・・
関心 目の前にあるものについて興味をひきつけられている
(例 授業中に意欲的に発言する 実験に一生懸命取り組む など)
意欲 目の前になくても興味をひきつけられ,行動に現れている
(例 学んだことを使って,意図的に日常生活に適用する など)
態度 学習内容を基に考えることが日常化し,習慣の一部になる
(例 普段の生活で考える手段になっている など)
具体的に言うと,小学校4年生算数の折れ線グラフなら
関心○ 教科書などの問題にあるグラフを書いている
意欲○ (グラフで表すことを目的にして)気温の変化をグラフで表してみる
態度○ (グラフで表すことを手段にして)学校の児童数の変遷を伝えるためにグラフを使う
こんな感じでしょうか。
今回の育成を目指す資質・能力の3つの柱で言うと,「どのように社会・生活と関わり,よりよい人生を送るか」で言うところでは,「意欲」や「態度」の育成が求められていると考えられます。
つまり単純に4観点が3観点に整理されたと言うよりは,それぞれの観点を捉えなおして,授業改善の方向性を明確にしたと言えるのではないかと思います。
他の2つの柱についても,同様にいろいろ解説したいところですが,俺はまたの機会に。
平成29年度研究を進めるために,ぜひ読んでおいた方がよい1冊!
アクティブ・ラーニングの視点を生かした授業 共に学ぶ
東洋館出版社
校内研究の始め方として,
① 本校児童の実態(教員によるアンケート)
② 本校児童の課題(研究部の集約)
③ 目指す子供像(研究部の提案)
という風に見せるのが一般的だと思います。今だと研究主題を設定するために,アンケートの内容をそれ(AL)に寄せたものでとって,「課題」や「子供像」をどうするか考えるのが研究部のお仕事ではないでしょうか。
「子供の実態から課題を見出し,研究仮説を立てる」というのは,もっともそうな感じはしますが,子供の姿というのは捉え方次第で,それに向けた指導・支援のあり方も変わっていくという欠点(?)もあります。データの受け取り手によって,「本当にそれが課題と言えるの?」と言われてしまっては,せっかく取り組む研究もそのよさがなかなか伝わっていかないでしょう。
むしろ,「子供たちがこんな姿になったらいいな」というところから,研究仮説を立てていくというのも(潔い?)一つの方法だと思うのです。今回紹介する本の中では,ALの授業を通して目指す資質・能力を身につけた子供像について,教科の具体の姿と共に紹介されています。これは同時に「こんな姿が見られれば,ALで資質・能力が育っていると言える」という評価規準にもなります。
正直,情報の鮮度の面で見れば,それほど新しいことがたくさん載っているものではありません。それは,これまでの中教審が打ち出してきた方針と大きく違わない(というか全く同じ)からだと言えます。そういう意味で,研究のベースとして読んでおくのはいい一冊だと思います。
後半には,弘前大学教育学部附属小学校の実践も載っています。
個人的には,学習指導要領の国語科の規準を超える活動(例:1年生で「相違点」について話し合う等)が目に付いて,その分の指導をどうするかという疑問がありました。
しかし,それぞれの実践はALの視点を十分もちながら行われているもので,大変参考になるものが多くあるように思います。それぞれの授業の板書計画もあるので,非常にイメージしやすく,これらの実践を再現することも先述の点さえクリアできれば難しくないと思います。対話的な内容がしっかり記録されているのもいいですね。
そんなわけで「買い!」の一冊です。
「アクティブ・ラーニングの視点で授業改善を行おう」と言えば,反対する人は少ないのですが,少なからず「アクティブ・ラーニング」という言葉に反射的に悪い印象を持ってしまう人も結構いるのがわかってきたという話です。 “そのALは,いつのALのことか” の続きを読む
「アクティブ・ラーニング」を考える 教育課程研究会
平成28年度9月現在で,最もその核心をついていると思われる本がこれです。これはALを研究する上では必携本になりうる内容が詰まっているので,特におススメできます。
内容の説明はAmazonさんに譲るとして,一番の強みは前文科省初等中等教育局長をはじめ,中教審委員や視学官の先生方が,これまでのALの考え方を踏まえながら,現状とこれからについて書いてあることです。そしてそれらが,教科等ごとに語られています。
例えば算数科においても,算数・数学的活動とALのつながりについて,とても丁寧に書かれています。一つ例を挙げれば,「算数的活動は数学的活動と呼ぶことが議論されているが…」など,最近のことも示されています。
来年度の研究を見据えて,一度読んでおきたい一冊です。
前記事「協働的な学び」が「対話的な学び」にシフトした理由」で書いていた「協働的な学び」の問題点について,まだ書き足りていないのでその続きです。本当は,平成28年8月現在のALの文科省の認識について,推測を含めながら書こうと思っていたのですが,それはこの次にします。
現行で研究テーマを「言語活動」にしている学校は多いと思います。あるいはそれを踏まえて今は「ALの研究を進めているところ」という学校も多いでしょう。
さて,「言語活動」の研究の反省として意外と多いのは「単純な話型指導になってしまっている」ということです。つまり,発達段階に応じて,「どんな言葉で話せばいいか」ということに終始してしまい,本来は学びの手段であるはずの「話し方」の獲得が目的化し,表現の幅を狭め,型の獲得のために教師主導の指導が増え,結果的に子供の主体性を奪うという流れが多いかった,ということです。これは過去の例でいえば,「100マス計算」の時の流れと似ています。手段(簡易な計算の高速化)は,比較的容易なので研究の取組として扱われやすいものの,その目的(深い思考が必要な問題の解決のための「道具」としての計算力の獲得)まで把握していないことで形骸化してしまうというのは,よくあることです。
今回のALの例でいえば,「協働的な学び」がその例に近くありました。言語活動とも相性が良く(前記事「なぜ初等・中等教育でアクティブ・ラーニングが推奨されているのか」を参照),実際AL研究をここから始めている学校も多いことでしょう。しかし実際の多くの(「研究授業」ではない)授業では,ペア学習やグループ学習が教師主導の下で行われ,子供の「主体性」や協働的に学ぶ「よさの実感」などはあまり大事にされていないのが現状でしょう。
「知識伝達型講義を乗り越える…能動的な学習」(溝上慎一 詳しくはコチラ)であるALにおいて,「学びの中心は子供である」という考え方へのシフトは今回の最重要項目であると言えます。それでいながらこれまで「協働的な学び」の下で行われている実践は,上記のような問題点があります。
学びへの考え方をシフトするなら,下の本がおすすめです。会話形式でとても読みやすく,「対話的な学び」の具体が示されています。少し前の本なのでAL的な強調されていませんが,西川先生はその後「学び合い」の視点からALについて,たくさん本を書かれています。そちらを読む前に,一度読んでもいいと思います。
これまでALについて語るときのキーワードの基本を「主体的・協働的な学び」としていたのですが,最近のキーワードがちょっと変わってきているようなので,紹介しておこうと思います。 “「協働的な学び」が「対話的な学び」にシフトした理由” の続きを読む
算数科の教科調査官,笠井健一先生が書かれています。
前半部にアクティブ・ラーニングで大切にしてほしい事。
後半部は,アクティブ・ラーニングと言える各小学校の実践が載っています。
前半部は結構はっきりとした切り口で,例えば
問題解決型の学習であっても,教師主導の授業展開では,主体的に学んでいるとは言えない。
といったことが書かれており,未だ「問題解決型学習⇒AL」と捉えている人も少なくない現状においては,なかなか衝撃的な内容と言えるのではないでしょうか。
後半の実践は,笠井先生が授業を見られたり,研究に関わっている学校の先生方が寄稿した,それぞれの学校の研究の取組です。
いい意味で尖った実践が多くて,非常に面白いです。カテゴリ(主体・協働・ICT・複式など)で分けられており,それぞれの学校の取組が,共通の視点で説明されています。
個人的には,学び合いをしている学校の「個人解決」は5分程度のものが多いところが面白いなと感じました。