アクティブ・ラーニングは手段であり,目的ではない

情報通信技術が発達し、変化の激しい現代社会を生き抜くためには、批判的思考力や問題解決能力、コミュニケーション能力のような21世紀型スキルが求められています。

「21世紀型スキル(Assessment and Teaching of 21st-Century Skills)」の他にも,「キーコンピテンシー(OECD)」「人間力(内閣府)」「社会人基礎力(経済産業省)」「人間力(国際バカロレア)など,様々な団体がそれぞれにこれからの時代に必要な「資質・能力」を提唱しています。

文部科学省は「資質・能力」というキーワードを設定し,平成24年「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」において,13回にもわたる議論を踏まえ,論点整理を取りまとめました。

また、国立教育政策研究所では、この流れを受け、日本の学校教育が培ってきた資質・能力を踏まえた「21世紀型能力」を提唱しています。(下図参照)

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そこで注目されるのが,これらの力をつけるために,どのような「授業」が望ましいかというお話です。ゴールのイメージを右図で良しとして,どうしたら,そこにたどり着くのかということです。

これまでの「授業」のイメージと比較すると,21世紀型能力で関係しそうなのは,「基礎力」の部分が大半であり,算数・数学などで「思考力」の一部,大局的な視点で見たとして生活科や総合的な学習の時間が全体に関わっているという印象でしょうか。

そこで,21世紀型能力を育てるために必要な「学び方」として脚光を浴びたのが「アクティブ・ラーニング」なのです。しつこく繰り返しますが,「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」にあるこの文脈

…「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)…

は「子供の学び方」と,先生方の「指導観」「指導法」の改善に向けた,(やや具体性には欠けるものの)強いメッセージであると受け取るのが妥当だと思います。

つまり,変化の激しい現代社会を生き抜くために必要な「資質・能力」を身に付けるために先生方はそれらを育てる「アクティブ・ラーニング」による授業を展開する必要がある,といえるでしょう。

では,アクティブ・ラーニングによる授業を行うには,具体的にどのような指導(学習)方法があるのでしょうか。

次回の記事では,「アクティブ・ラーニングによる授業をするために,私たちが気を付けるべきこと」についてお話ししようと思います。


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