(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)という言い回しに見る中央教育審議会の意図

前の記事で,

(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)という表し方は「これまでの文部科学省の伝え方から推測するに,これは「先行研究の『アクティブラーニング』とは違うものだけど,その類の…」というメッセージと取れます。」

前の記事:「アクティブ・ラーニングとアクティブラーニング

という紹介をしました。今回はこの表記についてお話しします。

 

実はこの表記は今回が初めてではありません。以前あった表記は

いわゆる「デジタル教科書」

平成27年5月12日「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(第1回)

です。もちろん「デジタル教科書」は,法的に「教科書」として位置づけられているわけではなく,一般的に認知はされているものの,文部科学省的には「教科書ではないが,それに類するものとしての…」というニュアンスでしか表現できなかったと想像できます。

すると今回の「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」にある

…「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)…

の(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)で伝えたいものが見えてくると思います。

今現在,研究対象として大きく取り上げられがちな「アクティブ・ラーニング」も実は,少しずつ(「・」や「いわゆる」による表記)柔らかい表現に変えられ,より現場の先生方に受け入れられやすくしようという策を講じた上での提唱と言えます。

それでも現場にこれだけのインパクトを与えるのですから,校内研究におけるその部分の調整は,各学校の研究担当者の腕にかかっている部分も大きいように思います。慎重に,かつ大胆に。その根拠になり得る情報を,今後も発信し続けます。


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