「アクティブ・ラーニング」という言葉を初めて聞いた先生方の多くは,身体的な活動をもって「アクティブ」であると考える考えるようです。そのため,
「アクティブ・ラーニングをするには,どんな活動(仕掛け)をすればいいのか」とか
「ペア・グループ学習や協働的な学びを促す活動はどんなものがあるか」
などの追究がテーマになりやすいと感じています。
研究の初期段階として,これらがテーマになるのは自然なことと思いますが,これはアクティブ・ラーニングの研究のステップ(足掛かり)に過ぎないということは,自覚しておいた方が良いと思います。
私の経験上,校内研究は比較的「手段が目的化しやすい」研究であると思います。つまり「アクティブ・ラーニング」はもともと手段であるということを忘れて,「何をすればアクティブ・ラーニングの授業になるか」という方向に行きがちだということです。
参考記事「アクティブ・ラーニングは手段であり,目的ではない」
このことは早い段階から危惧されていて,2015年8月に文部科学省の教育課程企画特別部会出された「教育課程企画特別部会における論点整理について(報告)」で以下のように懸念し,指摘しています。
「指導法を一定の型にはめ」たり「授業の方法や技術の改善に終始」したりするのではないか
「何のためかという目的を見失い、特定の学習や指導の『型』に過度に拘泥することもあるのではないか」
このような懸念の背景には,「総合的な学習の時間」が導入されたときに,授業の型や内容について,結果的には現場に任せる形で,研究がなかなか一様にならなかった(研究はされたが,現場レベルでは実効的な実践が少なかった)ことが挙げられるのではないでしょうか。その時に比べると,アクティブ・ラーニングはある程度既存のものであり,どの程度導入すればいいかという話になりやすく,それぞれのコンテンツ(学習活動)の研究が進めやすそうな印象があります。なので,そこにあまりのめり込まないように…という懸念なのでしょう。
今後,このサイトでは指導法や型についての紹介もしていく予定ではありますが,コンテンツにこだわって目的を見失ってはいけないことは,忘れてはいけない視点だと考えます。それを踏まえた上で…
次の記事ではいよいよ「小・中学校の実践例から見る,実際に使われているコンテンツ」について書こうと思っています。