よく見かける,国立教育政策研究所の「21世紀型能力」の図にも出てくる「批判的思考」(クリティカル・シンキングとも言います)。どうやらこの言葉はとても誤解を受けやすい言葉のようなので,少しだけ解説しておこうと思います。
そもそも「批判」とは,
ひ‐はん【批判】
①
物事の可否に検討を加え,評価・判定すること。 「学説-」 「 -を仰ぐ」
②
誤っている点やよくない点を指摘し,あげつらうこと。 「政府の外交方針を-する」
③
〘哲〙 〔ドイツ Kritik〕 人間の知識や思想・行為などについて,その意味内容の成立する基礎を把握することにより,その起源・妥当性・限界などを明らかにすること。
引用 大辞林 第三版 より
学校現場では「自己肯定感」という言葉が,大事にされています。この「批判」という言葉に,「肯定」の逆の「否定」の意味合いを感じて,とてもネガティブな印象を(勘違いとして)もっている先生は多いようです。
「批判」の反対は「無批判」であり,自分に都合の良い情報を無条件で受け入れて,思考を停止し判断しないことです。そう考えると,「批判的思考」は上の辞書における,①の意味であることがご理解いただけると思います。情報を基に考え,判断し,論拠を基に自主的,協働的に課題を解決するには,不可欠な力と言えます。まさしく21世紀能力の「思考力」の中核となる資質・能力と言えるでしょう。