「深い学び」を目指す意味(H30.2.28現在)

これまで「主体的・対話的で深い学び」について示してきた内容は,実際には優れた実践の中で生まれている「学び」でもあります。そのため,「何(What)が新しい取組なのか」「何をすれば(How)深い学びになるのか」といった,印象をもたれる方もいるかもしれません。

しかし目指すべきなのは,「深い学び」が,ある一部の知識や経験が豊かな教師によって生み出されるのではなく,どの教師も具現化された授業や手立てをヒントに,日々の授業の中で子供の「深い学び」を保障することです。

そして,そうすることにより「深い学び」を個人のパフォーマンスとして生み出すのではなく,組織的で計画的に積み上げていくことができるのではないかと考えています。

これは,今後充実が求められる「カリキュラム・マネジメント」の面からも決して欠くことのできない視点です。「創意工夫を生かした特色ある教育活動」というハード面の充実と合わせて,ソフト面にあたる私たち教師が,一つ一つの授業をアクティブ・ラーニングの視点で授業改善を行い,子供たちにとって「深い学び」が実現されるような授業を,誰でも行っていくことが重要であると考えます。

私たち教師は今こそ,方法論ではなく「なぜ(Why)ALなのか」という視点をもち,一人一人が思考し,行動し続けるアクティブ・ラーナー(Active Learner)である必要があると言えるでしょう。

【数学・道徳必見】単元・題材で資質・能力を育む

これまでの記事で,資質・能力の育成は,単元・題材レベルでということを書いてきましたが,実際の授業作りでは,どうしたって単位授業レベルの指導案での勝負になりがちです。特に,算数・数学や道徳は「1時間勝負」の文化が根強く残っていて,「本時の目標の達成」がとても大事にされますよね。 “【数学・道徳必見】単元・題材で資質・能力を育む” の続きを読む

【深い学び】校内研究における授業作りを考える

校内研究シーズン真っ盛りですね。いくつかの学校に呼ばれて,一緒に授業作りをする機会が何度かあって,いろいろ考えさせられることがあったので,少しずつ書いてみようと思います。 “【深い学び】校内研究における授業作りを考える” の続きを読む

【深い学び】「深い学び」と「主体的・対話的な学び」の関係

いきなり定期購読者が増えたので若干ビックリしています。そのくせ8月は記事を書かなかったので,そろそろ書いておきたいことを書こうと思います。

6月の文部科学省で行われた新教育課程説明会から2ヶ月と少し経ちました。私自身いろいろな人が,いろいろな事を言っている情報を聞いて,ある程度整理したほうがいいかな・・・という感じを受けたので,印象や感想を踏まえて書きます。 “【深い学び】「深い学び」と「主体的・対話的な学び」の関係” の続きを読む

【AL失敗事例】「合科的な指導」の落とし穴

新学習指導要領においても,「合科的な指導」というのが大事にされています。似たワードでは「関連的な指導」というのもありますが,この言葉たちは「失敗しやすさ」の点でALと同じにおいがします。 “【AL失敗事例】「合科的な指導」の落とし穴” の続きを読む

【AL実践例】授業をAL化するための14の視点

すごい本を見つけました。これは授業をAL化するための素晴らしい本です。たぶん今まで読んだAL化のための本としては最高レベルです。そして,タイトル通りではなく,算数授業以外にも十分「使える」本です。

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【AL勘違い】「ALは今までと変わらない」という言葉

先日研究会に参加した時に,ある先生がALの雑感をお話された中で「どこの研究会に行ってもALは今までと変わらないといわれる。何をすればいいかわからない」というものがありました。

私自身も文部科学省で新学習過程説明会に参加してお話を聞く中で,たしかに「今までと変わらない」というフレーズを何度か聞きました。しかしそこには,大事な文脈があるのですが,それがちゃんと伝わっていないというのが今回のお話。 “【AL勘違い】「ALは今までと変わらない」という言葉” の続きを読む

新学習指導要領における「主体的・対話的で深い学び」「見方・考え方」「資質・能力」

平成29年6月21日に東京大学で行われた「小学校新教育課程説明会」等でも,大きな話題となった「主体的・対話的で深い学び」。新学習指導要領では,このことを通して教科の目標(≒資質・能力の育成)を達成していくことが求められます。

新学習指導要領における「主体的・対話的で深い学び」と,「見方・考え方」や「資質・能力」の構造を,図を用いながら解説します。

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【新学習指導要領】アクティブ・ラーニングの目的

今回は,新学習指導要領が告示されて,その中ではALの表記が無くなったわけですが,内容的にはALがより実践しやすくなったというお話です。

ALの目的は基本的には「資質・能力」の育成を目指すものです。しかしこれまでの学習指導要領では,「資質・能力」を育成するという観点では書かれていません。

もちろん資質・能力の要素については書かれているのですが,各教科等を横断的に意識するものでも,発達段階を十分に配慮したものとはいえない部分がありました。そのことは論点整理(「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」平成26年3月)でも以下のように語られています。

従来の学習指導要領は、児童生徒にどのような資質・能力を身に付けさせるかという視点よりも、各教科等においてどのような内容を教えるかを中心とした構造。そのために、学習を通じて「何ができるようになったか」よりも、「知識として何を知ったか」が重視されがちとなり、また、各教科等を横断する汎用的な能力の育成を意識した取組も不十分と指摘されている。

これまで各学校の実践で,ALが活動重視になっていたのは,ALで育てようとするもの(資質・能力)は,これまでの学習指導要領で扱っているものよりさらに高度なものである,という認識に基づくものです。つまり,各教科等の目標よりも高度ものを求めることになり,それとは別に教科の目標を達成しなくてはいけない,ということで,比較的見えやすい「主体的・協働的(対話的)」に重きが置かれ,資質・能力の育成がないがしろになりがちだったと考えられます。

ところが,

次期学習指導要領では,資質・能力が各教科等の目的に位置付き,教科の目標を達成すれば,資質・能力が育成される(その逆も)という関係になりました。これにより,ALは「各教科等の目標を達成するための手段」であることが明確に位置づけられました。

ALという言葉はなくなっても,それを何のために行うのかという点では,非常に明確になったのが,次の学習指導要領だといえそうです。

 

平成29年度オススメ! 校内研究仮説の例

4月に入って,ずいぶんアクセス数が伸びました。
おそらくは,「今年の研究についてどうしたものか」とお考えの研究担当者さんも来てくれているのではないかと思います。
私自身も,今年の研究仮説(テーマ)をどのようにしたものか考えているところですので,少しでも役に立つものがあればと思い,エントリーを立てました。 “平成29年度オススメ! 校内研究仮説の例” の続きを読む