オンラインシンポジウム「令和の日本型学校教育」を語る!」の要点と感想

先日予告していた、オンラインシンポジウム「令和の日本型学校教育」を語る!」(リンクはYouTubeによるアーカイブ配信)についてです。

基本的は、「答申(「令和の日本型学校教育~」)は学習指導要領の考え方を述べたもの」を確認しているような内容でした。その具体について話していたという印象ですね。

少し内容に踏み込むと、 ※( )内は内容を踏まえた解釈

①「主体的・対話的で深い学びの実現」や、コロナ禍の対応で現場は疲弊している、という現状を踏まえ、教育委員会等との協力が不可欠であること。(校内だけでなく、より広い範囲での「協働的」な関係づくり)

②生涯教育の視点でも、ICTを活用しながら、子供の自己肯定感を高めていく取組が必要なこと。(学び続ける大切さを姿で示す教師は、子供にとって一番わかりやすいモデルケース)

③失敗が許されない風土の中でも、探究やチャレンジしながら乗り越えていくことが大切であること。(そのためには、互いの信頼関係の構築が重要)

といったあたりです。繰り返し出てきたワードは、「伴走者」。子供と関わる時の教師の在り方を指す言葉ですが、学びの主体が子供であることを再確認するような言葉だと感じました。

最後に、全体を見た感想です。シンポジウムの中で、中教審に委員もメタ的に発言していましたが、「公的(文部科学省)な発信として、このような(十分な精査が必要な内容をシンポジウムとして交流し、zoomでリアルタイムで流す)発信の仕方は、今まででは考えられない」ということです。内容で言えば、互いの意見が全て同じ方向を向いているわけではなく、表現で言えば、「揺れ」や「甘さ」が随所に見られました。自分はそれを「試行錯誤の中で、失敗を織り込みながら、とにかく進んでいくことの大切さ」を姿勢で示したのだと捉えました。

他の行政側から見れば、「こんな雑に発信していいのか」という感想もあると思います。しかし、最適解を求めて変化(更新)し続けるには、発信の反応を受けて、さらに改善していくというPDCAサイクルの回りを今まで以上に早くしていく必要があり、そのスパンを短くする必要性をアピールするものだったと考えます。

社会の変化に学校だけが取り残されることがないよう、一番子供に近い教師が変化を敏感に感じ取って捉え方を更新(リフレーミング)し、指導を含む行動を変えていく(アップデート)が、ここでも重要だと思いました。

来週は、「GIGAスクール構想本格運営時チェクリスト」について書こうと思っています。

「個別最適な学び」と「協働的な学び」について,現時点の要点整理と今後の予想

・基本は,新学習指導要領。よって,未来の社会の創り手(すべての子供)に必要な資質・能力の育成のための学び。

・GIGAスクール構想との共有キーワードは,「(ICTを用いた)誰一人取り残さない教育」。

・「個別最適化された学習」から「個別最適な学び」へ変わった背景は,学びの主体が子供である(新学習指導要領の内容に合わせた)ことと,学びの対象の変容(予測不能な課題)への個別のアプローチ(個性化)を認める現れ。

・「指導の個別化」と「学習の個性化」は,今後はあまり語られなくなりそう。(例:ALの時の「協同」「協働」「協調」の違いの追究)

 →根拠は、分かりづらさと理解する価値の低さ。特に「指導の個別化」は,分かりづらい。また,「学習の個性化」との線引きが難しいので,あっという間に引っ込めそう。

・「協働的な学び」は,「対話的な学び」との比較の視点から,「主体的・対話的で深い学び」との関連が説明される場面がありそう。(溝上先生資料のp8.9・協働的な学びから対話的な学びへのシフト

・今後は,「『個別最適な学び』は,『個に応じた指導』と違いはない。」という触れ込みが増える。(上記を踏まえる必要がある点で厳密には違う。ALの「今までの指導と変わりません」の時と似ている。)

・「持続可能な社会の創り手」の表現はあるものの,ESDとの関連は先行実践校のみで,SDGsはまだまだ進まない。

「令和の日本型教育」の(達成に向けた)手段について

【簡単整理】令和の日本型教育とは何か」で整理した内容を、少しだけ掘り下げます。なお,「手段」や「キーワード」は,私が勝手に解釈して整理したもので、文部科学省が「『手段』は○○で,『キーワード』は△△で~」と発信しているわけではないことを申し添えておきます。ご了承ください。

 

手段

①新学習指導要領の着実な実施

②ICTの活用

新学習指導要領の目的も,資質・能力の育成です。「令和の日本型学校教育」の目的も基本的には同一ですから,新学習指導要領の内容をしっかり取り組みましょうということです。新学習指導要領の解説は今月中に行いますが、目的達成のためのポイントは2つです。「カリキュラムマネジメントの充実」(外国語教育やプログラミング教育を含む教育課程の充実、PDCAサイクルによる改善、人的・物的リソースの活用)と「主体的・対話的で深い学び」による授業改善です。

ICTについては,同じく今月中に「情報活用能力」について扱うので,詳しくはその時に。

キーワード

①個別最適な学び

②協働的な学び

これについては別記事「「個別最適な学び」と「協働的な学び」について,現時点の要点整理と今後の予想」を起こします。4月8日公開予定です。

 

 

「令和の日本型教育」の目的と目標について

 

【簡単整理】令和の日本型教育とは何か」で整理した内容を、少しだけ掘り下げます。なお,「目的」や「目標」等は,私が勝手に解釈して整理したもので、文部科学省が「『目的』は○○で,そのための『目標』は△△で~」と発信しているわけではないことを申し添えておきます。ご了承ください。

 


目的    

一人一人の児童生徒が,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるようにすること


ここでの要所は,①「一人一人の児童生徒」と②「社会の創り手」です。

①は,step2で詳しく説明する「個別最適な学び」に係る内容です。

②は,新学習指導要領の総則でも使われた表現ですね。社会の「担い手」ではなく,「創り手」であるというところが大切です。

 


目標

①自分のよさや可能性を認識する

②あらゆる他者を価値のある存在として尊重する

③多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越える


ここでの要所は①が「個別最適な学び」,②と③が「協働的な学び」と関連していることです。言葉自体はそれほど難しくないですね。

③にある「協働」については最近再びよく見るようになりました。詳しくは5年前の記事ですが「協同と協働」や「「協働的な学び」が「対話的な学び」にシフトした理由」あたりが参考になると思います。

 

続きはpart1-②で。

【簡単整理】令和の「日本型学校教育」とは何か

3月27日(土)にあった、文部科学省が行ったオンラインシンポジウム「令和の日本型学校教育」を語る!」(リンクはYouTubeによるアーカイブ配信)については、今週中に要点を簡単にまとめて、UPする予定です。

さて、本題。「令和の日本型学校教育」について一言整理です。

 

目的    

一人一人の児童生徒が、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすること

 

目標

①自分のよさや可能性を認識する

②あらゆる他者を価値のある存在として尊重する

③多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越える

 

手段

①新学習指導要領の着実な実施

②ICTの活用

 

キーワード

①個別最適な学び

②協働的な学び

 

目立ったところだけ切り取りました。個々の言葉については、明日以降に説明していきます。