筑波大学附属小学校算数研究部から出ている「算数授業研究」という本があるのですが,表題のテーマで出版されていました。2016年冬号(102号)です。
面白い記述がたくさんあったので,抜粋で紹介してみたいと思います。
操作的な活動は「操作させること自体が目的になっていないか」
算数的活動は「活動はねらいの達成に有効に働いているか」
言語活動は「話型指導に偏り,思考が言語化されていないのではないか」
ALはこれらの反省を受けて指導の価値を見直し,本質に迫る指導を確立する機会である。
三鷹の森学園三鷹市立高山小学校 柳瀬 泰 先生
話型指導は,この本の中で田中博史先生も指摘しています。
「どの子もその型であれば表現することができる」という保障としての型であれば良いのですが,得てしてそれを獲得することが目的化しやすいのも事実です。また,型にはめない状態の方が,数学的な考え方の交流が進みやすいこともあるでしょう。私も現状で行われている話型指導についてはとても懐疑的な立場をとっています。
算数の授業は,教師がわかりやすくやり方を教え,その後繰り返し練習させる授業が多い。
算数授業は「考える授業」であり,「数理を作り出す授業」でなければならない。
知識・技能の定着を図る授業だからこそ,子どもの学習意欲を大事にし,能動的で協同的な学習を展開しなければならない。
熊本市教育センター 宮本 博規 先生
知識・技能をいかに能動的に学べるようにするか,というのはALを評価する一つの指針になると思います。数学的な考え方の授業をALで行うのは,比較的考えやすい…というか従来の感覚と同じようにできてしまうような気がしています。
そうではなく,主体的・協働的な子供の学びを,知識・技能の内容で行うことではじめて,新たな学びの形としてのアクティブ・ラーニングを発信していけるものだと信じて,私自身は研究を進めています。
アクティブ・ラーニングへと導くきっかけは,子どもの言動をきめ細やかに見取り,理解する中にある。
アクティブ・ラーニングを妨げるもの1つは教師の言動である。過剰な説明,不要な問い,独りよがりな価値観の押し付け,曖昧かつ不正確な教師の話など。子供から生まれた見方・考え方をどのように取り扱うかといったような教師の言動も,アクティブ・ラーニングの成否の重大な鍵となる。
IPU・環太平洋大学 前田 一誠 先生
教師の言動が与える,学習者への影響が大きいことは教師ならだれでも認識していることでしょう。具体的にどんな声がけや発問が,ALを促し,時にALを阻害するのかを具体的に示していくことが,現場の教員に求められていることのような気がしています。