前回の記事で,発問と応答によりAL型授業をつくるというテーマを取り上げました。
前記事 【実践】発問や応答の在り方 より
学習活動(ギャラリーウォークやワールドカフェなど)を新たに設定することも,ALの授業づくりで一つの方法ですが,もっとシンプルに子供を主体的・協働的に学ぶことができるようにする方法として,
今回は課題提示を取り上げたいと思います。
「なんだか難しい横文字の活動を取り入れることなく,今まで通りの授業スタイルで,よりALできないかな」という,インスタントな感覚でALを取り入れたいという方には,絶好の記事になるかと思います。さらなるAL型授業を目指す上でも,必須の方法だと思います。
前回と同じように比較しながら書いていきます。
まずはLv.1。
T: 今日のめあてはこれです。
めあて=本時の目標を達成するために,子供がわかるように書いたもの
と捉えてください。
教師がいきなり提示するパターンですね。休み時間のうちに書いてしまう先生もいらっしゃるとか。これであれば,確かに本時の目標からずれて活動が始まることはないのですが,一方で子供が活動に,主体的・協働的にかかわるには少し足りない気がします。
そこでLv.2。
T: 今日の問題はこれです。
C1: 簡単!簡単!すぐできるよ!
T: 今までとの違いはある?
C2: ○○のところが今までと違うよ。
T: じゃあ○○はどうすればできるかが,今日勉強するところだね。
C3: そうそう。
T: それじゃあ今日のめあては「△△・・・」です。
問題=本時に取り組む具体的な「問題」です。
「課題」というと「めあて」と混同する教科もある・・・ということで,少し説明します。
先ほどとの違いは,直接的に本時の目標を提示するのではなく,問題の答えを出す過程で,それを解決する方法を考えたり,表現したりという活動に目標を見出すことを目指している点です。
具体的には,「りんごが5こあります。みかんは7こあります。くだものはぜんぶでいくつありますか。」という問題を通して,「答えが10より大きくなる足し算の問題のやり方を覚えよう」という課題(めあて)に向かうというものですね。
この方法だと,めあてを設定する時に「今までとどこが違うの?」「どうして今まで見たいにできないのかな?」という問題意識が生まれ,本時の学習をする価値が高まります。そして「今までの足し算の考え方が使えそうだ」という期待も高まり,子どもの動機づけが十分された状態で,学習活動に取り組むことができます。(価値・期待と動機づけについては,経営学関係でもいろいろな本が出ていますので,そちらを参考に・・・。)
これらの仕掛けにより,子供はより主体的に学ぶことができるでしょう。
そしてLv.3。
T: 今日の問題はこれです。
C1: 簡単!簡単!すぐできるよ!
T: 今までとの違いはある?
C2: ○○のところが今までと違うよ。
T: どうして今まで通りだとどこができないのかな。
C3: □□のところは同じだけど,△△の部分はまだ勉強してないよ。
T: それじゃあ今日のめあては「△△・・・の仕方を5人の友達に説明しよう」です。
ALでは外化が重要であるとされています。わかったことを文字や言葉,図や制作物を通して,相手に伝えることがめあてに設定してしまうことで,協働的な学びも生み出してしまおうという,ある意味欲張りな設定の仕方です。
当然振り返りの場面では,「5人の友達に説明できたか」という振り返りになるので,協働的な学びをしていなければ,めあてを達成したことにはなりません。もちろんめあてを達成しなくても,それに向かって活動することで,互いに協働的に意識づけられる効果は期待できるといえるでしょう。
発達段階によって,めあてと本時の目標の関係性が違って来たり,問題から導かれる「めあて」が本時の目標からずれないための支援など,教師がするべき取り組みはたくさんあるのですが,まずは上のような課題提示をすることで,どんな支援が必要なのか,どんな学習展開への充足度(慣れ)が必要なのかを体感することも,AL型授業を作っていくには必要なことと思います。