6月4日に行われたNew Education Expo 2016に参加させていただき,文部科学省の田村先生のお話を聞くことができました。参考になる話はたくさんあったのですが,特に振り返りに特化して,また最近考えていることを交えながら,紹介していこうと思います。
田村先生が「学びに向かう力」として,特に振り返りで大事にしてほしいこととして,
① 充実感 「すがすがしい」「気持ちいい」などの満たされた感覚
② 達成感 「なるほど」「わかった」「できた」などを支える感覚
③ 自己有能感 「成長したかな」「前よりうまくいった」などの自己の成長を実感する感覚
④ 一体感 「みんなでやると楽しい」などの協同的に学ぶ価値を実感する感覚
を挙げていました。
子供の振り返りの中で,このような言葉が出る終末を心掛けたいものです。
一方で,このような振り返りが多いと,「授業のまとめになっていないのでは?」という疑問をもたれる先生も多いと思います。授業のまとめは,本時の学びを子供が内的に振り返るために行うものです。振り返りで出なくてはいけない,といった性質のものではなく,適用問題に取り組む中でそれらが行われることもあるでしょう。
また,発達段階に応じても違いはありそうです。国語や算数でも,低学年のうちは上記のような発言が促されるような,支援を行っていくのが大切だと思います。
ちなみに,②は教科の従来の評価に直接的につながるような感覚ですね。③は早稲田大学の田中博之先生が「自己成長力」などと表現していることとつながりそうです。
さて,ここからは少し自分が考えたお話なのですが,
振り返りでネガティブな表現をする子供に出会うことがあります。
「○○が難しかった」「△△が上手くいかなかった」などです。これらの振り返りは,実は重要な意味があると思います。
ともすれば,「楽しかった」「できた」「良かった」で埋め尽くされやすいまとめが,ネガティブな言葉でも振り返ることができれば,それは機械的で処理的な振り返りではなく,実際の自分に向き合った振り返りともいえるのではないでしょうか。
そのためには,教師は子供に対してネガティブな評価をすることも必要になると言えないでしょうか。「○○だと大変だったね」「△△のやりかたは上手くいかないんだね」など,今の教育界の空気の中で少し抵抗がある言い方ですが,より主体的に自分の振り返りをするためには,必要なことのような気がします。