【授業観察】アクティブ・ラーニングは一日にしてならず

先日,元筑波附属小学校副校長の細水保宏先生の授業を見る機会がありました。以前にも,先生の授業を参観させていただいたことがあります。その時の授業では,授業者としてのスキルの一つ一つ高さに驚いたのものです。今回の授業でもたくさんの学ぶべきものをいただくことができました。

さて,今回の授業は冠に「アクティブ・ラーニング講習会」というものがついていました。細水先生自身は,そのことを知らされていたのかわかりません。そして,以前からこのサイトで示している通り「これまでのよい実践は,概ねALである」と言えることは,だいぶ認知されてきているような気がします。なので,細水先生の授業はALによって展開している,ということは間違いないと言えます。ALの講師として,細水先生に来ていただいて,授業を見せていただくということも,AL研修として有効だと言えるでしょう。実際に今回の授業は,「ALになるための授業者の支援の仕方」という視点では,大変為になった授業だったと言えます。

しかし,今回の授業は子供がアクティブに学んでいたかと言えば,決してそうではありませんでした。それは細水先生自身が,強く感じていたことと思います。そして,「AL研修会として参加した(ALのことをまだ詳しく知らない)参会者」も,「ALってこんな感じ?」という疑問を感じさせるものだったかもしれません。端的に言えば,子供の姿は主体的でも,協働的でもなかったのです。

理由は簡単です。日常的な指導がALではないからです。それは,
① 主体的に学んでいくために必要な,見通しの元となる基礎的な知識量
② 協働的に学ぶよさを体験している経験量
③ 子供が自由に表現できる学級の雰囲気づくり
・ 課題解決することによって得られるものの価値を考えること(動機づけにかかわって)
これらが十分でなかったのでしょう。
他の子供の意見に追従したり,発表が一部の子供に偏っていたり,表現することをためらったり,というようすが見られました。

とは言え,日本中の多くの学校(過半数と言えるでしょう)で行われている,教師主導の講義型授業を多く行っている学級で,突然ALの最先端の授業を行えば,ほとんどの子供たちがそんな姿になるのではないかと思います。決して,今回の学級が特別だったとは思いません。

ALの授業が21世紀型学力及び資質・能力を身に付けるうえで,有効な手立てになるのは,ALが日常的に行われることで,①~③のようなことが備わった上でのことなのではないか,と考えます。


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