新学習指導要領における「主体的・対話的で深い学び」「見方・考え方」「資質・能力」

平成29年6月21日に東京大学で行われた「小学校新教育課程説明会」等でも,大きな話題となった「主体的・対話的で深い学び」。新学習指導要領では,このことを通して教科の目標(≒資質・能力の育成)を達成していくことが求められます。

新学習指導要領における「主体的・対話的で深い学び」と,「見方・考え方」や「資質・能力」の構造を,図を用いながら解説します。

 

 

 

 

 

 

ALについての研究が全国で始まったころ,当時の定義のベースとなったのは「主体的・協働的な学び」というフレーズでした。研究授業では,子供の主体性と協働性を育むために,どのような学習活動を展開してよいか,あるいはどのような学習過程に工夫を凝らしたらよいのかが重視されました。

「主体的・協働的(対話的)な学び」は,教科の専門性をそれほど必要としません。そのため,校内研究としても取り組みやすく,さらにそれまで校内研究のテーマとして多かった「言語活動」とも親和性が高かったため,各教科等の目標にあるような各教科等固有の見方や考え方等が,あまり大事にされなかった経緯があります。

その後ALの授業改善の視点として「深い学び」が設定されました。「深い学び」は,他の二つの「学び」に比べて,各教科等の特性に応じて示されます。このことは「ALの視点による授業改善は,各教科等の目標の達成のため」というALの目的に立ち返るきっかけになったと言えます。

「深い学び」は,「主体的・対話的な学び」を通して行われるものだと考えます。これまでの知識伝達型の一斉授業だけではなく,子供が主体的・対話的になりながら多様な学び方をすることにより,各教科等の「見方・考え方」が鍛えられていきます。その結果として新たな資質・能力を獲得し,それを基に,また「見方・考え方」が磨かれていくというサイクルを経て,「深い学び」は行われていくのです。そのことを表したのが上の図です。

そして,各教科等の目標を束ねてその上にあるのが,新しい時代に求められる「資質・能力」となります。下図ですね。

新学習指導要領では,「資質・能力」という言葉が,各教科等におけるもの(各教科等の目標)と,未来を生きる子供たちのための汎用的な力というものと,二つの意味で用いられているため,いまいち理解が難しいです。

各教科等の目標 (1)~(3)の内容は資質・能力が反映されたものですので,まずはそこを目指して授業を作っていくのが,今後は基本となるでしょうか。

 


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