認知プロセスの外化 活動への関与

今回はアクティブラーニングの定義に関わって,以下の文章の「活動への関与」「認知プロセス」「外化」についてのお話しです。

一方向的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・ 発表する等の活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う。 (京都大学高等教育研究開発推進センター教授 溝上慎一

もともと青年心理学を専門となさっていた溝上先生です。これらの言葉は心理学用語によって語られているのだろうと推測されます。私自身は心理学には全く詳しくありませんので,学校の研修レベルで「先生方が共通理解できる言葉」に置き換えられないものかということで,辞書の力を借りながらまとめてみます。

「活動への関与」

「関与」
あることに関係すること。たずさわること。 weblio辞典より

心理学用語だと

自我関与
心理学用語。ある事柄を自分のもの、あるいは自分に関係があるものとして考えること。 goo辞典

どうやら中教審の諮問でいうところの「主体的に学ぶ学習」に関わる部分ですね。校内研究の言葉としては,「課題を自分事と捉えて,密接感をもちながら解決に向かって学ぶ姿勢を…」などとなるでしょうか。

 

認知プロセス

「認知プロセス」という言葉はいくつかの辞書やwebで探しても見つからなかったので,「認知」+「プロセス」であるとすると,

にん‐ち【認知】

[名](スル)
ある事柄をはっきりと認めること。「反省すべき点を―する」
婚姻関係にない男女の間に生まれた子について、その父または母が自分の子であると認め、法律上の親子関係を発生させること。
《cognition》心理学で、知識を得る働き、すなわち知覚・記憶・推論・問題解決などの知的活動を総称する。   デジタル大辞泉より
この場合3.の意味であると考えられます。
つまりそれらの知的活動の過程を,「認知プロセス」と呼ぶという認識でよさそうです。
外化
こちらは普通の辞書を引いても,心理学用語として探しても,なかなかはっきりと書かれているものを見つけることができませんでしたので,溝上先生ご自身の原稿の説明から取りました。(大学向け情報誌「IKUEI NEWS_69」より)

文章や会話,発表などを通じて,自分の頭の中にある思考を外に出すこと

実際の授業においては,集団解決の場面における「発表」が最初にイメージされますが,図や表などをノートに書いたり,思考ツールを使って思考の共有化を目指す活動なども含まれるでしょう。
また,課題把握や,授業の感想の振り返りなどを話し合い(ペア・グループ学習)で行うことは,外化をする機会(時間的・空間的,及び話し合いの相手)の保障のためであるとも言えます。

一通りの意味を確認すると,どのように授業に生かすかの具体が見えてきたように思います。小学校・中学校においては,これまでも大切にしてきたことを「再定義する」という意味合いが強いかもしれませんが,例えば「認知プロセスの外化はどの場面で行われているか」などの観点で授業を見直すことが,よりアクティブ・ラーニングの授業を作るためには必要になるかもしれません。


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