1.何のためにALを研究するかを理解・周知する

多くの場合,研究テーマを探しているうちに中教審の諮問にたどり着いて,「『生きる力』『言語活動』ときて,今度のキーワードは『アクティブ・ラーニング』だな。」とキーワードありきで研究テーマをきめるのが一般的なのではないでしょうか。もちろん,子供の実態や過去のそれぞれの学校の研究を踏まえてということはあるでしょうが,ある意味旗印となるようなものが必要です。しかし,それの意味を理解することなく実践を行っては意味がありませんし,やるからには子供の成長に結びつくような研究を行いたいものです。

これまでのキーワードもそうであったように,ALは手段であり,目的ではありません。「言語活動」が目的化した授業はたくさんありましたが,今回も同じような問題が起きるのは文科省も心配しているところです。詳しくは以下二つの記事をご覧ください。
過去記事 アクティブ・ラーニング手段であり目的ではない
過去記事 アクティブ・ラーニングによる授業をするために,私たちが気を付けるべきこと

研究担当の先生は,それらのことが起こらないように,可能であれば教育課程企画特別部会から平成27年8月に出た「論点整理」を,「できればあまり文章は読みたくない…」というのであれば,論点整理の補足資料の(1)を目を通すと良いと思います。補足資料は(5)まであるので,余力があれば見ておきたいものです。

内容は非常に大雑把にいうと,「新しい時代を生き抜くために必要な『資質・能力』を育てるには,これまでの学習の仕方を見直しが必要」であるといったことです。

これまでの各学校での研究を生かす観点でとらえるならば,「各教科等の目標や内容を高いレベルで達成するために,ALに取り組む」という姿勢でも悪くないと言えます。しかし一方で,「これまでの各教科などの目標・内容では,未来を生き抜く子供の資質・能力を育むには不十分である」といった趣旨のことも,過去(平成26年3月)の「論点整理」では語られています。

子供の実態に踏まえて,平成26年11月20日中央教育審議会が「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」で言うところの

…「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)…

主体的・協働的な学びが,どのような学習活動で展開されていくか伝えていくのが,研究担当者の腕の見せ所となるでしょう。

それでは,次の記事は「主体的・協働的をどうとらえるか」というテーマで書きます。


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