【校内研究】関心・意欲・態度って使い分けていますか?

 

関心・意欲・態度と言えば,評価観点の最初にして最重要項目という捉えられ方をされてそれなりに時間も経ったことと思います。ところで,この言葉って皆さんどのように理解されていますか?

この評価観点についてこんな方法で評価されている方が多いような印象です。

1. 授業中の挙手や発表の回数
2. 単元の導入で興味を持っているか
3. 忘れ物や課題未提出者に対して減点する
4. 普段の授業態度(姿勢やノートの記入など)

特に1.や2.は今回の改訂でバッサリ切らねばならない評価方法と言えます。
(3.や4.は問題外ですよね)

まずは関心・意欲・態度とはそれぞれ,どのようなものを指しているのかを確認する必要があるでしょう。

大まかに言うと,それぞれが高い状態と言うのは・・・

関心 目の前にあるものについて興味をひきつけられている
(例 授業中に意欲的に発言する 実験に一生懸命取り組む など)
意欲 目の前になくても興味をひきつけられ,行動に現れている
(例 学んだことを使って,意図的に日常生活に適用する など)
態度 学習内容を基に考えることが日常化し,習慣の一部になる
(例 普段の生活で考える手段になっている など)

具体的に言うと,小学校4年生算数の折れ線グラフなら

関心○ 教科書などの問題にあるグラフを書いている
意欲○ (グラフで表すことを目的にして)気温の変化をグラフで表してみる
態度○ (グラフで表すことを手段にして)学校の児童数の変遷を伝えるためにグラフを使う

こんな感じでしょうか。

今回の育成を目指す資質・能力の3つの柱で言うと,「どのように社会・生活と関わり,よりよい人生を送るか」で言うところでは,「意欲」や「態度」の育成が求められていると考えられます。

つまり単純に4観点が3観点に整理されたと言うよりは,それぞれの観点を捉えなおして,授業改善の方向性を明確にしたと言えるのではないかと思います。

他の2つの柱についても,同様にいろいろ解説したいところですが,俺はまたの機会に。

 

 

平成29年度研究を進めるために,ぜひ読んでおいた方がよい1冊!

【新学習指導要領案】アクティブ・ラーニングの表記について

平成29年2月14日に出た新学習指導要領案について
ここで読めます。ページ下側) “【新学習指導要領案】アクティブ・ラーニングの表記について” の続きを読む

【H28.12.21答申】ALに関する補足資料の「補足」

補足資料4/7の後半(pp.124-129)でアクティブ・ラーニングの歴史的背景等についての説明があるのですが,そこで以前紹介した「活動の「動詞」から見る学習への深いアプローチと浅いアプローチの特徴」が載っていました。少しカラフルになって。

“【H28.12.21答申】ALに関する補足資料の「補足」” の続きを読む

【H28.12.21答申】(いわゆる「クリティカル・シンキング」)

H28.12.21に中教審から出た答申を読んでいたところ,「教化等を超えた全ての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」について書かれているP35に

物事を多面的・多角的に吟味し見定めていく力(いわゆる「クリティカル・シンキング」)

という表記を見つけました。これは, “【H28.12.21答申】(いわゆる「クリティカル・シンキング」)” の続きを読む

「教えるべきは教え,考えさせるべきことは考えさせる」という言葉の危うさ

最近ALの研究会に参加をすると,「全ての授業がAL型授業でなくてよい」という話を聞きます。確かに,課題解決学習やピア・インストラクションなどの学び方が,最適ではない授業は存在します。(知識・技能の習得を目標とする)いわゆる「普段の授業」では,AL型授業だと時間がかかりすぎるのが実際です。

上記の話と合わせてよく聞くのが,題名にもなっている「教えるべきは教え,考えさせるべきことは考えさせる」という言葉です。しかし,これによりALの視点からの授業改善を意識せずに,普段の授業は「今まで通りの授業でよい」という結論に至ってしまっている先生方が多いように思います。今回はそのことについて書いてみようと思います。 “「教えるべきは教え,考えさせるべきことは考えさせる」という言葉の危うさ” の続きを読む

全ての教員に必要な「ALの視点」とは(ALの階層②)

前の記事
小・中学校ではアクティブ・ラーニングはすでに行われている」は本当か(ALの階層①)
で(より一般的なレベルの先生方が)AL型授業をするための要素があるという話をしました。あわせて「点」のAL,「線」のALというのもありました。今回はその話の続きです。 “全ての教員に必要な「ALの視点」とは(ALの階層②)” の続きを読む

「小・中学校ではアクティブ・ラーニングはすでに行われている」は本当か(ALの階層①)

研究大会などで,ALの話になるとよく出てくる言葉です。質疑応答の場面で,各学校の研究を担当されている先生が,授業者や研究担当者に対しての質問でよく見かけます。具体的な例で言うと「今までの授業とどこが違いますか?」という質問が端的なものです。 “「小・中学校ではアクティブ・ラーニングはすでに行われている」は本当か(ALの階層①)” の続きを読む

そのALは,いつのALのことか

「アクティブ・ラーニングの視点で授業改善を行おう」と言えば,反対する人は少ないのですが,少なからず「アクティブ・ラーニング」という言葉に反射的に悪い印象を持ってしまう人も結構いるのがわかってきたという話です。 “そのALは,いつのALのことか” の続きを読む

アクティブラーニングの研修を受けて感じたこと

先日アクティブラーニング研修(「・」がない方)の研修に参加させていただきました。そこでは「シアターラーニング」というアクティブラーニングの「在り方」を学ぶという名目で,研修がなされていました。私なりに感じたことを整理していこうと思います。 “アクティブラーニングの研修を受けて感じたこと” の続きを読む

「協働的な学び」が上手くいっていない背景

前記事「協働的な学び」が「対話的な学び」にシフトした理由」で書いていた「協働的な学び」の問題点について,まだ書き足りていないのでその続きです。本当は,平成28年8月現在のALの文科省の認識について,推測を含めながら書こうと思っていたのですが,それはこの次にします。

現行で研究テーマを「言語活動」にしている学校は多いと思います。あるいはそれを踏まえて今は「ALの研究を進めているところ」という学校も多いでしょう。

さて,「言語活動」の研究の反省として意外と多いのは「単純な話型指導になってしまっている」ということです。つまり,発達段階に応じて,「どんな言葉で話せばいいか」ということに終始してしまい,本来は学びの手段であるはずの「話し方」の獲得が目的化し,表現の幅を狭め,型の獲得のために教師主導の指導が増え,結果的に子供の主体性を奪うという流れが多いかった,ということです。これは過去の例でいえば,「100マス計算」の時の流れと似ています。手段(簡易な計算の高速化)は,比較的容易なので研究の取組として扱われやすいものの,その目的(深い思考が必要な問題の解決のための「道具」としての計算力の獲得)まで把握していないことで形骸化してしまうというのは,よくあることです。

今回のALの例でいえば,「協働的な学び」がその例に近くありました。言語活動とも相性が良く(前記事「なぜ初等・中等教育でアクティブ・ラーニングが推奨されているのか」を参照),実際AL研究をここから始めている学校も多いことでしょう。しかし実際の多くの(「研究授業」ではない)授業では,ペア学習やグループ学習が教師主導の下で行われ,子供の「主体性」や協働的に学ぶ「よさの実感」などはあまり大事にされていないのが現状でしょう。

「知識伝達型講義を乗り越える…能動的な学習」(溝上慎一 詳しくはコチラ)であるALにおいて,「学びの中心は子供である」という考え方へのシフトは今回の最重要項目であると言えます。それでいながらこれまで「協働的な学び」の下で行われている実践は,上記のような問題点があります。

学びへの考え方をシフトするなら,下の本がおすすめです。会話形式でとても読みやすく,「対話的な学び」の具体が示されています。少し前の本なのでAL的な強調されていませんが,西川先生はその後「学び合い」の視点からALについて,たくさん本を書かれています。そちらを読む前に,一度読んでもいいと思います。

クラスと学校が幸せになる『学び合い』入門<会話形式でわかる『学び合い』テクニック> (THE教師力ハンドブック)