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【校内研究】平成29年度研究テーマ作成のためにやっておきたい2つのこと

各学校では年度末業務や新年度準備に追われている時期とは思いますが,同時に新年度研究の準備の時期でもあります。
最近のアクセス数を確認すると,新学習指導要領においてALという言葉は消える見通しにもかかわらず,結構な数の方がいらしているようです。
ありがとうございます。
さて,新年度に向けて研究担当者として読んでおきたいものが2つありますので紹介します。

1. 新学習指導要領案(ページ下方にリンクがあります)
新学習指導要領「案」ですので,今年2月14日にでたパブリックコメントを求める段階のものですが,内容が大きく変わることはないと思われます。今回は総則の前に前文・前説(?)的なものが付いたので,それを読むのもいいかもしれません。細かい改定のポイントはさらに下に改定のポイントとして載っているので,せめてそれだけでも目を通しておくとよいと思います。
2. 「カリキュラム・マネジメント入門」著 田村 学

このサイトでもたびたび紹介しておりますが,田村先生の最新著書です。
おそらく平成29年度はALからカリキュラム・マネジメントへ大きく舵を切る自治体が増えると思われます。ただそこに至るために,単位時間(点)と単元計画(線)を改善するためのAL的視点や,年間指導計画(面)と発達段階を考慮した連続的な指導(立体)としての文字通りの「経営力」が必要なのは間違いないと思います。言葉としては見かけなくなっても,その視点は引き続き大事にするのがよいでしょうね。

上の著書でも扱われていますが,「深い学び」について焦点化して研究を進めたい学校も多いと思いと感じています。ただ,これをメインに進めるのは少し危険な気がします。それは「深い学び」は探求的な学び(AL型授業等)において,その手段となるものであり「深い学びを実現するために何をするか」的な研究仮説だと,結局「基礎・基本の定着を目指して・・・」とか「協同的なかかわりを通して・・・」など,元に戻った結論しか出てこないように思うからです。「探求的な学びの実現を図って(大テーマ)学習活動を進めることにより,深い学びが保障されて(手段の明確化),生きる力の育成(目的の達成)につながった」といった流れになるのが自然ではないでしょうか。

もしかしたら,「深い学び」で一度トピックを立てたほうがよい気がしてきました・・・。要望があれば書こうと思いますが・・・。
とりあえず,読んでおいたほうがよいのはこの本ですよ!

【新学習指導要領案】アクティブ・ラーニングの表記について

平成29年2月14日に出た新学習指導要領案について
ここで読めます。ページ下側) “【新学習指導要領案】アクティブ・ラーニングの表記について” の続きを読む

【H28.12.21答申】簡単なまとめ

そろそろ答申をまとめた本が出始めています。自分がわかりやすかったのは,これ

総合教育技術2月号

これを読みながら,答申を読み返してスライドにまとめました。校内研修などで活用いただけるとありがたいです。(スライドに名前が入ってますが・・・)


【H28.12.21答申】ALに関する補足資料の「補足」

補足資料4/7の後半(pp.124-129)でアクティブ・ラーニングの歴史的背景等についての説明があるのですが,そこで以前紹介した「活動の「動詞」から見る学習への深いアプローチと浅いアプローチの特徴」が載っていました。少しカラフルになって。

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【H28.12.21答申】(いわゆる「クリティカル・シンキング」)

H28.12.21に中教審から出た答申を読んでいたところ,「教化等を超えた全ての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」について書かれているP35に

物事を多面的・多角的に吟味し見定めていく力(いわゆる「クリティカル・シンキング」)

という表記を見つけました。これは, “【H28.12.21答申】(いわゆる「クリティカル・シンキング」)” の続きを読む

「教えるべきは教え,考えさせるべきことは考えさせる」という言葉の危うさ

最近ALの研究会に参加をすると,「全ての授業がAL型授業でなくてよい」という話を聞きます。確かに,課題解決学習やピア・インストラクションなどの学び方が,最適ではない授業は存在します。(知識・技能の習得を目標とする)いわゆる「普段の授業」では,AL型授業だと時間がかかりすぎるのが実際です。

上記の話と合わせてよく聞くのが,題名にもなっている「教えるべきは教え,考えさせるべきことは考えさせる」という言葉です。しかし,これによりALの視点からの授業改善を意識せずに,普段の授業は「今まで通りの授業でよい」という結論に至ってしまっている先生方が多いように思います。今回はそのことについて書いてみようと思います。 “「教えるべきは教え,考えさせるべきことは考えさせる」という言葉の危うさ” の続きを読む

校内研究で「目指す子供像」をALベースで表したい時に読む本(国語・算数・音楽・外国語活動)

アクティブ・ラーニングの視点を生かした授業 共に学ぶ
東洋館出版社

校内研究の始め方として,
① 本校児童の実態(教員によるアンケート)
② 本校児童の課題(研究部の集約)
③ 目指す子供像(研究部の提案)

という風に見せるのが一般的だと思います。今だと研究主題を設定するために,アンケートの内容をそれ(AL)に寄せたものでとって,「課題」や「子供像」をどうするか考えるのが研究部のお仕事ではないでしょうか。

「子供の実態から課題を見出し,研究仮説を立てる」というのは,もっともそうな感じはしますが,子供の姿というのは捉え方次第で,それに向けた指導・支援のあり方も変わっていくという欠点(?)もあります。データの受け取り手によって,「本当にそれが課題と言えるの?」と言われてしまっては,せっかく取り組む研究もそのよさがなかなか伝わっていかないでしょう。

むしろ,「子供たちがこんな姿になったらいいな」というところから,研究仮説を立てていくというのも(潔い?)一つの方法だと思うのです。今回紹介する本の中では,ALの授業を通して目指す資質・能力を身につけた子供像について,教科の具体の姿と共に紹介されています。これは同時に「こんな姿が見られれば,ALで資質・能力が育っていると言える」という評価規準にもなります。

正直,情報の鮮度の面で見れば,それほど新しいことがたくさん載っているものではありません。それは,これまでの中教審が打ち出してきた方針と大きく違わない(というか全く同じ)からだと言えます。そういう意味で,研究のベースとして読んでおくのはいい一冊だと思います。

後半には,弘前大学教育学部附属小学校の実践も載っています。
個人的には,学習指導要領の国語科の規準を超える活動(例:1年生で「相違点」について話し合う等)が目に付いて,その分の指導をどうするかという疑問がありました。
しかし,それぞれの実践はALの視点を十分もちながら行われているもので,大変参考になるものが多くあるように思います。それぞれの授業の板書計画もあるので,非常にイメージしやすく,これらの実践を再現することも先述の点さえクリアできれば難しくないと思います。対話的な内容がしっかり記録されているのもいいですね。

そんなわけで「買い!」の一冊です。

全ての教員に必要な「ALの視点」とは(ALの階層②)

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小・中学校ではアクティブ・ラーニングはすでに行われている」は本当か(ALの階層①)
で(より一般的なレベルの先生方が)AL型授業をするための要素があるという話をしました。あわせて「点」のAL,「線」のALというのもありました。今回はその話の続きです。 “全ての教員に必要な「ALの視点」とは(ALの階層②)” の続きを読む

「小・中学校ではアクティブ・ラーニングはすでに行われている」は本当か(ALの階層①)

研究大会などで,ALの話になるとよく出てくる言葉です。質疑応答の場面で,各学校の研究を担当されている先生が,授業者や研究担当者に対しての質問でよく見かけます。具体的な例で言うと「今までの授業とどこが違いますか?」という質問が端的なものです。 “「小・中学校ではアクティブ・ラーニングはすでに行われている」は本当か(ALの階層①)” の続きを読む

【スライド資料】アクティブ・ラーニングで私たちの授業はどう変わるか

新しいスライドを作ったのでUPします。今回の見どころはP47~です。
「教えるべきは教え,考えさせるべきは考えさせる」という言葉について,少し書いています。